循環器内科
循環器内科の紹介
科の構成
教授/4名 准教授/3名 講師/6名 助教/5名 大学院/3名
臨床助手/12名 客員教授/11名 客員准教授/1名 客員講師/1名 非常勤医師/6名
出向先・関連病院
東海大学医学部付属八王子病院(教授2名、准教授1名、講師2名、助教6名、臨床助手2名)
東海大学医学部付属東京病院(助教1名)
海老名総合病院(助教4名、臨床助手2名)
池上総合病院(講師1名、助教2名、臨床助手2名)
伊勢原協同病院(助教2名)
相模原協同病院(講師1名、助教3名、臨床助手1名)
虎の門病院(助教2名)
湘南大磯病院(助教1名、大学院1名)
宮崎市郡医師会病院(講師1名)
岩田クリニック(講師1名)
上尾中央総合病院(助教1名)
厚木循環器・内科クリニック(助教1名)
認定医/専門医、指導医の数
メインスタッフ
伊苅 裕二(いかり ゆうじ) 教授・診療科長
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会名誉専門医・指導医
後藤 信哉(ごとう しんや) 教授
日本内科学会認定医・指導医
日本循環器学会専門医
日本脈管学会専門医
日本動脈硬化学会指導医
日本血栓止血学会認定医
難病指定医
社会医学系専門医・指導医
身体障害者福祉法第15条指定医
Visiting Professor, the University of Oxford
吉岡 公一郎(よしおか こういちろう) 教授
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本不整脈学会専門医
永井 知雄(ながい ともお) 准教授
日本内科学会認定医・総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本脈管学会専門医
日本超音波医学会専門医・指導医
日本心エコー図学会専門医
日本心エコー図学会SHD心エコー図認定医
網野 真理(あみの まり) 准教授
日本内学会認定医・指導医
日本循環器学会専門医
日本不整脈学会専門医
栁下 敦彦(やぎした あつひこ) 准教授
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本不整脈学会専門医
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医
大野 洋平(おおの ようへい) 准教授
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本脈管学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医
TAVI国際プロクター(Medtronic社指導医)
TAVI指導医(SAPIEN, CoreValve)
田中 重光(たなか しげみつ) 講師
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
伊地知 健(いぢち たけし) 講師
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
心臓リハビリテーション指導士
村上 力(むらかみ つとむ) 講師
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
日本周術期経食道心エコー認定医、SHD心エコー図認証医
鳥居 翔(とりい しょう) 講師
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医
上岡 智彦(かみおか のりひこ) 講師
日本内科学会認定医・指導医
日本循環器学会専門医
日本脈管学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
経カテーテル大動脈弁/肺動脈弁置換術プロクター(Edwards社指導医)
TAVI指導医(SAPIEN, CoreValve)
診療体制
診療は、病棟、外来、検査部門があり後期研修医はそれぞれの診療に参加します。
病棟チーム体制
病棟は重症患者、検査入院など最先端の医療を学ぶ場です。
病棟チームはチームリーダー(准教授 or 講師)をはじめ4-6名で1チームを構成します。不整脈チーム(Aチーム)、虚血チーム(Bチーム)、心不全チーム(Cチーム)の合計3チームがあります。また上級医によるDチームが全体のバランスをみて入院の振り分けを行います。受け持ち患者数は各チーム10名〜20名前後であり、チーム内での後期研修医は自らの判断で検査や治療を計画し、非侵襲的な治療に関しては積極的に実施できます。また、研修医全体のサブリーダーとして行動判断ができ、侵襲的な手技に関しては上級医の指導で積極的に参加します。不整脈チーム、虚血チーム、心不全チームというのは、とりあえずの分類で、症例のやり取り、Discussionなどこの3チームは協力して有機的に患者さんの診療に取り組みます。
当科の経験可能症例は多岐に渡り、また症例数も非常に多く、特に重症例(心原性ショック、左主幹部心筋梗塞、経皮的心肺補助(PCPS)・経皮的左室補助装着(Impella)症例、肺血栓塞栓症、劇症型心筋炎、たこつぼ心筋症、心室頻拍・心室細動、心肺停止蘇生後など)の管理を行います。当科、心臓血管外科、麻酔科、など多くが参加するチーム医療として、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)や経カテーテル僧帽弁形成術であるMitraClip治療も積極的に行われています。また、高齢化に伴い心不全患者は右肩上がりに増加しております。心不全診療には薬物療法やカテーテル治療のみならず、運動、栄養療法など多職種連携チームによる治療介入が行われます。集中治療室は病院全体で80床ありますが、東海大学は科別病棟ではないため、必要があればいくらでも循環器内科で使用可能です。循環器疾患の重症例は病棟診療期間にほぼ経験することができます。
外来診療体制
外来は教授、准教授、講師、助教と基本的には上級医が行っていますが、後期研修の後半で外来を持つことができます。また教授外来で、教授と一緒に診療することもでき、これは研修医の特権です。外来で急変した症例、外来で緊急処置が必要な症例は、その都度外来に呼ばれ緊急対応を学ぶことができます。
検査体制
循環器内科では、心エコー(経胸壁・経食道)、運動負荷心エコー検査、トレッドミル運動負荷試験、心肺運動負荷検査(CPX)、負荷心筋シンチグラムなど非侵襲的検査を上級医と共に研修医も施行し、学ぶことができます。右心カテーテル検査、冠動脈造影、電気生理学的検査などの侵襲的検査は上級医と共に行いますが、熟練度が早い場合には研修医が術者となって行うこともできます。また、侵襲的治療(PCI、アブレーション、ペースメーカーなど)には積極的に参加し助手についてその技術を学びます。当科のカテーテル技術は日本を代表するレベルにあり、外国人医師の見学者も多く(海外のカテーテル治療医が参加する当科主催の国際ワークショップ”ICIC” が開催されます)、助手に入ってその空気を共有するのは何回も教科書を読むのに勝る実践的な有用性があります。
教育体制
診療体制で述べた病棟チームに所属し、チームの中の一員としてチーム医療を行いつつ多くのことを学んでいきます。ドクターヘリを所有し、広範な医療圏をカバーする地域で唯一の3次救急施設であることから、数多くの重症例、緊急症例を経験することができます。症例数は他の追随を許さないくらい多いでしょう。病棟診療から多くの重症例の管理、循環器疾患のことを学べます。心肺停止蘇生後、低体温療法、左冠動脈主幹部急性心筋梗塞、心源性ショック、肺血栓塞栓症、劇症型心筋炎、経皮的心肺補助(PCPS)・経皮的左室補助装置(Impella)などごく普通に集中治療室に入院しており、一から学ぶことができます。
[週間スケジュール]
(月)~(金)のルーティンワーク
7:45 ~ チームカンファレンス・病棟回診
8:30 ~ 病棟業務・救急対応
○虚血・心不全チーム:心臓カテーテル検査、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、経皮的血管形成術(EVT)、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)、経カテーテル僧帽弁形成術(MitraClip)
○不整脈チーム:心臓電気生理学的検査、アブレーション治療、ペースメーカー治療
15:30 ~ チームカンファレンス・病棟回診
月曜日
7:15〜 研修医勉強会
14:00~ 入院心臓リハビリテーションカンファレンス
16:00〜 新規入院患者・症例検討会
17:00〜 血管造影カンファレンス(心臓外科と合同)
火曜日
8:30〜 TAVI/MitraClip術前カンファレンス
13:00 ~ 心筋シンチグラム(適宜)
水曜日
8:30〜 TAVI/MitraClip術前カンファレンス
15:00〜 経食道心エコー
15:30~ 多職種心不全チームカンファレンス
木曜日
8:30〜 経皮的左心耳閉鎖術、心房中隔欠損閉鎖術・卵円孔開存閉鎖術術前カンファレンス
15:00〜 経食道心エコー
16:00〜 外来心臓リハビリテーションカンファレンス
金曜日
15:00〜 経食道心エコー
17:00〜 心臓外科・循環器内科 症例検討会
土曜日
7:45 〜 チームカンファレンス・病棟回診
8:30 〜 病棟業務・緊急対応
達成すべき目標:応用コース
●循環器の基本的な疾患に関しての診断検査と一般治療ができる。
・病歴、身体所見(聴診など)より簡潔な診断および病態が把握できる
・上記に加え、心電図、心エコー検査を組み合わせることで詳細な病態に迫れる
・心不全患者の病態生理および血行動態が理解できる
・治療方針を自身で立て、実行できる
・補助循環や人工呼吸器の設定が病態の変化に応じてできる
・稀なケースであっても循環器疾患の生理学/病理学の理解ができる
学会発表やケースレポートの作成ができる
・循環器作働薬を自身の判断で問題なく使用できる
薬物動態や作用・副作用の理解ができる
副作用が生じたときの対応ができる
・心臓カテーテル検査の一部が自身でできる
右心カテーテル検査ができる
冠動脈造影ができる
PCIの方針を立てることができる
・電気生理学的検査・高周波カテーテル焼灼術の介助ができる
電極カテーテルの操作ができる
・ペースメーカー移植術への参加(リード操作含む)ができる
●虚血チーム、不整脈チーム、心不全チームを1ヶ月単位の選択で組み合わせたスケジュールを立てることができます。また、心臓リハビリテーションや集中治療室における管理を中心に研修プログラムを立てることもできます。
●初診外来は、希望によって教授、准教授、講師とともに経験する事ができます。
●内科学会を始め、日本循環器学会専門医の経験必要年数、日本心血管インターベンション学会、日本不整脈心電学会、日本心臓リハビリテーション学会などの研修期間として組み入れることができます。
研究体制
現在の研究グループは主に下記3グループです。
1)心血管インターベンショングループ
*伊苅教授を中心とするグループです。橈骨動脈アプローチに特化したIKARIカテーテルを開発した伊苅教授は、経橈骨アプローチの冠動脈インターベンション(PCI)の第一人者として活躍中です。臨床データをもとにした研究でも多くの論文が出版されています。末梢動脈疾患(頚動脈ステント、末梢血管インターベンション)の新規治療の検討も行っています。新しい治療器具(冠動脈ステントなど)の治験やROBOT-PCIなど最先端の治療器具を経験することができます。
*構造的心疾患に対するカテーテル治療(経カテーテル大動脈弁留置術[TAVI]、僧帽弁クリップ術、心房中隔欠損症・卵円孔開存閉鎖術、慢性血栓塞栓性肺高血圧に対するバルーン拡張術、経皮的左心耳閉鎖術、閉塞性肥大型心筋症に対する経皮的アルコール中隔心筋焼灼術)の分野においても、国内国外で指導的立場にある指導医のもと、若手に技術的指導を行い、非常にレベルの高い臨床ならびに研究を行っています。TAVIは年間100例を超える豊富な症例数を誇り、他の治療に関しても国内をリードしています。また、国際的にも評価の高いOCEAN-SHDグループの代表施設として、多くの論文を発信しており、国際学会であるPCR Tokyo Valvesの運営スタッフとしての活躍も可能となっています。
*心血管治療デバイスの病理学的評価においては、世界でもトップレベルの施設です。冠動脈・末梢動脈ステント、経カテーテル大動脈弁置換術の際に留置する生体弁等の、各種心血管治療デバイスの進化により、近年循環器内科医が治療を完結できる疾患は広がっており、今後の更なる発展の為にも病理学的評価は非常に重要な位置を占めています。動物実験に基づく新規デバイスの開発、検討も行っており、積極的に関わる事で多数の若手医師が国際学会で研究結果を発表し、論文化する事で心血管デバイスの進化に貢献しています。
*血管内皮前駆細胞を発見した先端医療科学の浅原教授との共同研究で、血管再生・炎症・免疫細胞解析と近赤外線光干渉断層イメージングを用いた病理解析により急性冠症候群の病態研究を行っています。また、同血管再生・炎症・免疫細胞解析によりCOVID-19の病態研究も検討しています。
2)不整脈グループ
*電気生理学検査、カテーテルアブレーション、植え込み型除細動器、ペースメーカー手術など年間500件の診療実績を誇ります。昨年は難治性心室細動に対して心外膜アブレーション実施し、安全かつ有効な成果をおさめました。またアブレーションが適応とならない難治性心室頻拍に対しては、体外放射線(X線)照射によるradio-ablationを日本国内で初めて実施しました。本治療法はワシントン大学からNEJM 2017に発表され、低侵襲不整脈治療として瞬く間にトップニュースとなった手法です。東海大学においては、新規不整脈治療の発展に寄与することが出来ます。
*不整脈疾患のカテーテルアブレーションやデバイスについての症例報告や臨床研究も積極的に行っており、国内外での学会発表を行っております。
*リサーチカンファレンスでは、若手医師に国際学会発表・臨床論文・症例報告を積極的に指導しています。非侵襲的な突然死の予測として、高分解能ホルター心電計と呼ばれる記録器を用い、心筋梗塞、Brugada症候群、QT延長症候群、内頚動脈狭窄症、睡眠時無呼吸症候群、心房細動におけるハイリスク患者を同定します。過去20年におよぶ1万件のデータから、疾患ごとのリスク因子を数多く報告してきました。
*動物を用いた前臨床研究では、重粒子線による抗不整脈機序の解明を行っています。心室細動あるいは心房細動が誘発可能なモデル動物を作成し、体外から放射線を心臓照射した際の電気生理変化、生物反応、組織解析を実施しました。一つの機序として、炭素線照射により心筋のギャップ結合蛋白であるコネキシンの発現が亢進することで、興奮伝導が改善する現象を発見しました。
3)血栓止血研究、医工連携、臨床研究グループ
*量子力学とニュートン力学を連成したCHARMM力場を用いて、心筋梗塞などの動脈血栓性疾患の発症を担う蛋白質相互作用を原子の運動からコンピューター上に再現し、医学者と工学者が情報共有しつつ革新的新薬開発研究開発を行っています。
*Duke大学、Harvard大学、Oxford大学、University College of London と連携し、血栓性疾患に関する大規模臨床データベースを構築しました。人工知能を用いて各種臨床データから近未来の臨床イベントを予測するモデルを作成しています。
*遠隔モニタリングにて取得したデジタル情報から臨床予後を予測するモデルを作成しています。
将来展望
今後日本において2025年以後人口は減少し、医師過剰時代を迎えると予測されています。これから研修医を目指す医師の壮年期には医師過剰時代であり、患者さんの多い診療科を選ぶことも大切かもしれません。
心疾患は日本においてがんに続いて日本第二位の死亡率となる疾患です。世界ではがんよりも心疾患が第一位である国が大多数です。そしてその背景として糖尿病、高血圧、脂質異常症など多岐にわたる疾患を診療しなければなりません。がんは、多くの診療科で見る疾患ですが、心疾患は循環器内科こそが最初に患者を診る唯一の科です。患者さんの数は一つの科としては膨大であります。したがって、循環器内科を選択するのは今後の日本の状況を考えるとある意味極めて妥当であるかもしれません。
昨今では、腫瘍循環器という領域も発展してきており、他科のがん診療中の患者さんでさえも、心不全や不整脈疾患について相談を受け、診療しています。患者さんにいい医療をするという理想をかなえられるのも循環器内科の醍醐味です。
技術的なことが好きな医師はカテーテル治療があります。画像診断が好きな医師にはエコー、CT、MRI、シンチグラム、PETなど多くの画像診断が最先端の勢いで発達しています。非侵襲的なことが好きな先生は、心不全診療や心臓リハビリテーション、また高血圧、脂質異常などの管理も大切な循環器診療です。すなわち、循環器診療には、急性期から慢性期まで、また非侵襲的検査・治療から侵襲的検査・治療まで、実に多岐にわたる幅広い領域に専門性があり、どの分野を選んでも楽しくやっていくことが可能であり、重症管理から外来診療まで魅力あふれる診療科です。何よりも各分野に循環器診療を心より愛するエキスパートが揃っており、皆様を親切にサポートさせていただきます。
東海大学循環器内科では、初期の循環器診療から、専門性の高いレベルまで、きちんと対応し教育を行っております。症例が多く経験できるからという理由で一般病院での研修を希望される方もいますが、当科の症例数を持っている一般病院はないであろうと考えます。医師としての一時期は一般病院で技術を磨いたりする時期が必要と思いますが、研修医時代こそは、東海大学での経験が役に立つはずです。是非自分のやりたいことを実現させて、一緒に学んでいきましょう!