腎内分泌代謝内科
腎内分泌代謝内科の紹介
科の構成
教授/1名 准教授/3名 講師/3名 助教/2名 大学院/1名 臨床助手/6名
出向先・関連病院
東海大学医学部付属八王子病院(教授1名、助教5名、臨床助手1名)
東海大学医学部付属東京病院(准教授1名)
湘南大磯病院(旧・東海大学医学部付属大磯病院)3名
伊勢原協同病院 2名
小田原市立病院 1名
認定医/専門医、指導医の数(出向先・関連病院等も含めた合計)
メインスタッフ
駒場 大峰(こまば ひろたか)
教授 診療科長 腎・血液透析センター長
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本腎臓学会腎臓専門医・指導医
日本透析医学会透析専門医・指導医
關 敏郎(せき としろう)
准教授 教育計画部次長
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本内分泌学会内分泌代謝専門医・指導医
豊田 雅夫(とよだ まさお)
准教授 診療部次長 入退院センター長
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医
木村 守次(きむら もりつぐ)
准教授 第一診療センター長
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医
日本腎臓学会腎臓専門医・指導医
小泉 賢洋(こいずみ まさひろ)
講師 14A病棟医長
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本腎臓内科腎臓専門医・指導医
日本透析医学会透析専門医・指導医
日本高血圧学会高血圧専門医・指導医
日本臨床腎移植学会認定医
安田 敦(やすだ あつし)
講師
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本内分泌学会内分泌代謝専門医・指導医
中川 洋佑(なかがわ ようすけ)
講師 腎・血液透析センター副センター長
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本腎臓学会腎臓専門医・指導医
日本透析医学会透析専門医・指導医
診療体制
1. 幅広い疾患を診療
腎内分泌代謝内科では、腎疾患と内分泌代謝疾患の両者を診療しているのが特徴です。
急性期患者の対応を行う病棟に関しては、腎臓チームと内分泌代謝チームの2チームに分かれて診療を行っています。腎臓チームでは、腎炎・ネフローゼ症候群の精査加療、急性腎障害の管理、末期腎不全に対する腎代替療法導入、透析患者の合併症管理などを担当しています。また、移植外科と連携し、バスキュラーアクセス造設や腎移植管理も行います。内分泌代謝チームでは、糖尿病性ケトアシドーシスや重症低血糖などの糖尿病救急疾患や、甲状腺クリーゼや副腎クリーゼなどの内分泌救急疾患の診療を行います。また、各診療科と連携して血糖管理のコンサルテーション症例の対応も行います。
外来においては、それぞれの疾患ごとに専門外来を設けています。腎臓領域では、腎炎・ネフローゼ症候群の管理や慢性腎臓病の保存的加療を中心に診療しています。内分泌領域では、下垂体・副腎・甲状腺・副甲状腺などの内分泌疾患を診療しています。糖尿病領域では、インスリン療法だけでなく、インスリンポンプ(CSII)や24時間血糖モニタリング(CGM, isCGM)を使用する症例も豊富に診療しています。
2. 多職種連携
また、医師間の連携にとどまらず、看護師、栄養士、薬剤師、検査技師、臨床工学技士、医療ソーシャルワーカーなどとの多職種連携も重視して診療にあたっています。糖尿病や慢性腎臓病については多職種連携を実践することが合併症予防に繋がるということが分かっており、積極的に取り組んでいます。
3. 「和気藹々」と「切磋琢磨」
上記のように、当科は腎臓チームと内分泌代謝チームの2チームに分かれて診療を行っていますが、それぞれのチームが和気藹々とした雰囲気の中で診療にあたっています。さらに、チーム間でも活発な意見交換を行い、切磋琢磨しながら臨床能力を高める努力をしています。
診療実績(2022年度)
<腎領域>
腎生検診断 135件(うち移植腎生検61件)
腎代替療法を要する急性腎障害 約100件
維持血液透析導入 138件
維持腹膜透析導入 4件
生体腎移植 24件(移植外科)
バスキュラーアクセス造設術(内シャント、グラフト、動脈表在化、長期留置カテーテルの合算) 233件(移植外科)
バスキュラーアクセストラブル処置(血管拡張術、血栓除去術の合算)95件(移植外科)
副甲状腺摘出術 17件(移植外科)
<内分泌・代謝領域>
糖尿病教育入院 10件
インスリン導入 141件
糖尿病他科併診 725件
インスリンポンプ管理 42件
フラッシュグルコースモニタリング(isCGM)導入 約100件
内分泌疾患負荷試験 78件
教育体制
1. 内科医としての知識・技能の習得
当教室では、まずは内科医として診療を行う上で必要な知識や技能を習得することを重視しています。希少疾患や難治性疾患をもった症例を経験することも多々ありますが、そのような場合でも指導医とともに丁寧に診察を重ねることで、理論的に思考し説明する内科医としての能力を高めることが可能と考えています。そのために、中堅医師は若手医師に、若手医師は初期研修医や学生に、それぞれ指導を行いながら理解を深める屋根瓦式の教育体制を構築しています。
2. 豊富な症例を経験できる
内科医としての臨床能力を高めるため、当教室では専攻医が初診外来を担当しています。経験豊富な指導医がバックアップに付き、丁寧かつ適切な指導を受けながら外来診療を進めています。初診外来には地域の連携施設からの紹介や他科コンサルテーションなどで多数の患者が来院しており、豊富な症例を経験できます。入院を要する急性期疾患のみならず、糖尿病、高血圧、脂質異常症の三大生活習慣病に加え、内分泌疾患や慢性腎臓病など幅広い慢性疾患が対象となるため、若手医師は早期から重要な診療経験を積むことが可能となります。
3. 研究支援の充実
内科専門医やサブスペシャルティの専門医を取得するために学会発表は必須であり、必ず症例報告を発表していただいています。一症例に対して考察を深めることは臨床医として必要なスキルです。発表までは複数の指導医がサポートにあたり、丁寧に添削を行います。国内学会で発表いただくことが多いですが、希望があれば国際学会での発表や医学雑誌などへの論文投稿を経験することも可能です。また、当教室では透析患者を対象としたコホート研究のデータベースを有しており、臨床研究に挑戦することも可能です。
研究体制
当教室では、研究活動も活発に展開しています。日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会をはじめとした国内学会のみならず、国際腎臓学会、米国腎臓学会、米国糖尿病学会、米国内分泌学会など数多くの国際学会で発表を行い、欧米の一流学会誌に数多くの論文が掲載されています。
当教室の研究活動は、主に以下の4グループで行っています。
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慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)
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CKD-MBDにおけるFGF23-Klotho系の役割を解明することを目的として、慢性腎臓病(5/6腎摘)や急性腎障害(腎虚血再灌流障害)などの動物モデルを用いた基礎実験や、遺伝子改変マウスを用いた検討に取り組んでいます。
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日本透析医学会の統計調査や国際観察研究DOPPSを始め、MBD-5D研究やCKD-JAC研究などさまざまな臨床研究に参画しています。
2. 糸球体疾患
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本学生理学松阪泰二教授の研究室と連携して、糸球体上皮細胞(ポドサイト)とレニン・アンジオテンシン系に関する研究を行っています。
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腎臓病の多くはポドサイト傷害をきっかけに発症することが知られており、本研究室において開発したポドサイト特異的傷害モデルマウスを用いて同細胞の傷害の進行機序と防止方法の開発の研究を行っています。
3. 糖尿病領域
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糖尿病性腎症の発症進展機序に関する研究として、培養細胞を用いた糸球体上皮細胞(ポドサイト)の研究や糖尿病性腎症におけるメサンギウム基質拡大やポドサイト脱落におけるメカニズムの解明などを行っています。
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持続血糖モニタリング(CGM)やインスリンポンプを駆使した糖尿病領域の臨床研究も盛んに行っています。
4. 内分泌領域
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乳癌免疫環境における特異抗体産生の抑制機序とグルココルチコイドの関連性の解明
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プロゲステロンが誘導する幹細胞様メモリーT細胞分化機構の解明
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下垂体腫瘍や悪性褐色細胞腫の遺伝子治療に有用なアデノウイルスベクターの開発
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治療抵抗性の内分泌性高血圧の新規治療法の開発
将来展望
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多様なキャリアパスを支援します
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当教室は腎疾患、内分泌疾患、糖尿病の3つの領域をカバーし、さらに移植外科とも緊密に連携しています。これらの領域を経験した後、専門を絞って研鑽を深めることもできますし、オールマイティを目指すことも可能です。
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大学病院の役割は臨床・教育・研究の三本柱です。若手の間は、このうち臨床が最も重要なテーマですが、医師として経験を積む過程で、教育・研究にも取り組むことは、その後のキャリアを形成する上でとても重要です。当教室では、臨床・教育・研究の機会をバランス良く持つことが可能です。
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大学病院での勤務を続けて臨床能力を深めていただいてもかまいませんし、地域の中核病院で研鑽を積むこともできます。専門性をさらに深めるための国内・国外留学も可能です。地域医療に貢献するためのクリニック開業も応援いたします。当教室では、本人のキャリアプランを定期的に聞きながら,実現できるように支援いたします。
2. ワーク・ライフ・バランスへの取り組み
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当教室では、女性医師が活躍出来るための環境づくりに積極的な取り組みをしています。出産・育児休暇後は,本人の希望を聞きながら復職支援を行っていますので、ご安心ください。
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男性の育児休暇取得についても、積極的に支援いたします。
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共働きの教室員も多いことから、お互いの立場を尊重し、業務を分担しながら診療を行っています。
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質の高い仕事をするためには私生活の充実は重要であり,有給休暇や夏期休暇の積極的な取得を奨励しています。
3. リサーチマインドを育む
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内科医にとっては病棟や外来診療などの臨床が基本となりますが、そこにリサーチの視点が加わると臨床への取り組み方が変わってきますし、新たな発見や楽しみにつながることもあります。
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当教室では、動物実験による基礎研究を思う存分していただくことができます。また、臨床研究に取り組んでいただくこともできます。特に当教室では、近隣の施設と協力し、血液透析患者を対象とした「東海透析コホート研究」を2012年から立ち上げており、前向き研究は8施設から約650例、後向き研究は22施設から約2300例の患者が登録されています。このデータベースを活用し、日常診療におけるリサーチクエスチョンを題材に臨床研究を進めることが可能となっています。
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海外留学や、海外の研究者との共同研究についても実績がありますので、希望があればそのような機会が持てるように支援いたします。